アンカースクリュー

アンカースクリュー

従来の矯正治療における課題

これまでの矯正治療では、歯を動かす際に臼歯(奥歯)を固定源として利用するのが一般的でした。
しかし、この方法では、力をかける際に歯同士が「綱引き」のように引っ張り合うため、本来動かしたくない歯まで動いてしまうことがあります。 その結果、治療の質の低下や治療期間の長期化といった問題が生じることがありました。

アンカースクリューによるアプローチ

アンカースクリュー(矯正用インプラント)は、骨に小さなスクリューを埋め込み、それを固定源として利用する装置です。 これにより、臼歯を支えにせずとも、歯の – 上下的な移動(圧下・挺出) – や、 – 前後的な移動(遠心・近心) – を正確かつ効率的に行うことが可能になりました。 結果、治療の自由度が高まり、仕上がりの精度向上が期待できます。

アンカースクリューの
メリットと使用目的

アンカースクリューのメリットと使用目的

アンカースクリューは矯正治療時に使用する補助装置です。 歯槽骨(顎の骨)に埋め込み、歯を動かす際の固定源として利用します。 「インプラントアンカー」とも呼びます。

当院では治療のクオリティ向上や治療期間の短縮のため、12歳以降の矯正治療では、多くのケースでアンカースクリューを使用しています。

効率よく歯が動かせるから
なりたい理想にアプローチできる

効率よく歯が動かせるからなりたい理想にアプローチできる

アンカースクリューと目的の歯を、ゴムやチェーンでつなぐことで「この歯だけを、この角度に移動させたい」という精密な調整も可能です。

そのため、口元の突出感やガミースマイル、開咬など、従来の方法では難しかった症例でも、アンカースクリューの使用で効率よく歯を動かせるようになり、治療の幅が広がりました。

非抜歯での矯正が目指せる

矯正治療で歯を抜かずにきれいな歯並びをつくるためには、前歯を並べるためのスペースを確保する必要があります。 その際、奥歯をさらに後方(遠心方向)へ動かすことで、スペースをつくる方法があります。

従来はこの「奥歯を後ろに動かす」治療が難しく、抜歯が必要になるケースも多くありました。 しかし、アンカースクリューを使用することで、奥歯の遠心移動が効率的かつ正確に行えるようになり、非抜歯での矯正が目指せるようになりました。

患者さまの負担軽減

患者さまの負担軽減

従来は、奥歯を後方へ動かす際にヘッドギアなどの大型で煩わしい装置を装着する必要がありました。
しかし、アンカースクリューを使用することで、これらの装置を使用せずに同様の効果を得ることができます。 その結果、見た目や装着感の負担が大幅に軽減され、より快適な矯正治療が可能になりました。

抜歯や外科矯正のリスクを回避

MSE(Micro-implant Assisted Rapid Palatal Expander)は、上あごの骨を少しずつ広げて、歯がきれいに並ぶための骨格からの改善を行う装置です。

上顎の幅が狭い場合、非抜歯で歯を並べるスペースを確保したい場合、骨格的に顎が小さく、外科矯正との境界(ボーダーライン)となる症例などに使用されます。

MSEとアンカースクリューを組み合わせることで、より確実に上あごを広げられ、抜歯や手術を避けられる可能性が高まります。 MSEとは上顎を骨格的に改善する装置です。

埋入から抜去までの流れ

歯に矯正装置を装着して、凸凹した歯並びを整える「レベリング」後に、歯科矯正用アンカースクリューを埋入します。

1.埋入位置の決定

撮影したレントゲンを元に、歯や骨の位置・状態を確認しながら、アンカースクリューを埋入する位置を決定します。

2.麻酔

埋入する歯茎周辺を消毒後、表面麻酔を塗り、浸潤麻酔を注射します。アンカースクリュー埋入時に使用する麻酔は、抜歯時に使用する麻酔量の1/5と少量です。これはアンカースクリュー埋入時の痛みが少ないことを示しています。

3.専用ドライバーで埋入

麻酔がしっかり効いていることを確認した後、専用のドライバーを使って、アンカースクリューを埋め込みます。 1本あたりにかかる時間は5分程度で、出血もほとんどありません。

4.アンカースクリューを使用した
矯正治療の開始

アンカースクリューが定着したのを確認してから、ゴムやゴム製のパワーチェーンなどで装置とつなぎます。 その後も定期的に通っていただき、歯や装置・アンカースクリューの状態をしっかりチェックしながら治療を進めます。

5.装置の撤去時に抜去

動的治療(歯を動かして歯並びや噛み合わせを整える治療)が終わり、矯正装置を撤去する際にアンカースクリューも抜去します。 麻酔を使用しなくても、抜去時の痛みはほとんどありません。 抜去後は自然に痕は治っていき、傷跡は残りません。

費用・料金表

歯科矯正用アンカースクリューの料金には、本体だけではなく、レントゲン撮影、麻酔、埋入・抜去の処置など、アンカースクリューの埋入・抜去にかかるすべての費用が含まれます。

費用・料金表を見る

歯列矯正は、公的医療保険適用外の自費診療となります。

よくあるご質問(FAQ)

どんな処置になりますか?

歯科矯正用アンカースクリューを埋入する処置が必要です。 埋入自体は1本あたり5分程度で終わります。 埋入時は表面麻酔と局所麻酔を併用するため、施術中に痛みを感じる心配はありません。

アンカースクリューを埋め込む位置は
どこですか?

埋入場所は移動させたい歯の位置や歯並びの状態によって異なります。 多いのは奥歯側、前歯の近く、または顎の裏側などです。 いずれも動的治療の際に動かない骨格部分に埋め込むため、特定の歯を効率よく動かすことができます。

違和感や痛みはありますか?

埋入後は鈍い痛みがありますが、ほとんどの方は翌日には痛みが消失します。 人によっては、埋入後2~3日は、違和感や痛みを感じる場合がありますが、時間の経過とともに慣れていき、痛みもなくなります。

歯茎の腫れ・炎症はありますか?

埋入後に歯科矯正用アンカースクリュー周辺の歯茎が腫れたり、炎症が生じたりして、痛みが出る恐れがあります。

金属アレルギーの心配はありませんか?

歯科矯正用アンカースクリューは、医療用チタン製の小さなネジで、インプラントや人工関節にも使われる素材でできており、生体適合性が高く体に優しい素材です。 ただし、アレルギーの既往歴がある方やご心配な方は事前にご相談ください。

取れることはありますか?

アンカースクリューは治療後に撤去する前提で設計されているため、治療の途中で緩んで抜けてしまうこともあります。 一般的な定着率は80~90%とされていますが、骨質には個人差があり、歯槽骨(顎の骨)が薄い、柔らかい方は、なかなか定着しづらいケースもあります。

アンカースクリューが緩んだり外れたりした場合はどうしたら良いですか?

ご自身で戻そうとせず、すぐに当院までご連絡ください。 気になるからと言って指や舌で触ると、炎症や痛みの原因になることがあります。 アンカースクリューが脱落した場合も、再埋入など適切に対応しますのでご安心ください。

アンカースクリューは
どれくらいの期間使用しますか?

使用する期間は、患者さまの歯並びや治療目的によって異なりますが、動的治療終了(基本装置が取れるとき)まで使用します。

神戸・三宮でのアンカースクリューを使用した矯正治療は
当院にご相談ください

神戸・三宮でのアンカースクリューを使用した矯正治療は当院にご相談ください

歯科矯正用アンカースクリューを併用した歯列矯正治療は、神戸市中央区の三宮そう矯正歯科にお任せください。 歯列矯正をおこなう際に欠かせない補助装置が、治療精度を高め、患者さまの理想を追求します。 疑問や不安な点など遠慮なくご相談ください。

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