従来の矯正治療における課題
これまでの矯正治療では、歯を動かす際に臼歯(奥歯)を固定源として利用するのが一般的でした。
しかし、この方法では、力をかける際に歯同士が「綱引き」のように引っ張り合うため、本来動かしたくない歯まで動いてしまうことがあります。
その結果、治療の質の低下や治療期間の長期化といった問題が生じることがありました。
アンカースクリューによるアプローチ
アンカースクリュー(矯正用インプラント)は、骨に小さなスクリューを埋め込み、それを固定源として利用する装置です。
これにより、臼歯を支えにせずとも、歯の – 上下的な移動(圧下・挺出) – や、 – 前後的な移動(遠心・近心) – を正確かつ効率的に行うことが可能になりました。
結果、治療の自由度が高まり、仕上がりの精度向上が期待できます。
埋入から抜去までの流れ
歯に矯正装置を装着して、凸凹した歯並びを整える「レベリング」後に、歯科矯正用アンカースクリューを埋入します。
1.埋入位置の決定
撮影したレントゲンを元に、歯や骨の位置・状態を確認しながら、アンカースクリューを埋入する位置を決定します。
2.麻酔
埋入する歯茎周辺を消毒後、表面麻酔を塗り、浸潤麻酔を注射します。アンカースクリュー埋入時に使用する麻酔は、抜歯時に使用する麻酔量の1/5と少量です。これはアンカースクリュー埋入時の痛みが少ないことを示しています。
3.専用ドライバーで埋入
麻酔がしっかり効いていることを確認した後、専用のドライバーを使って、アンカースクリューを埋め込みます。
1本あたりにかかる時間は5分程度で、出血もほとんどありません。
4.アンカースクリューを使用した
矯正治療の開始
アンカースクリューが定着したのを確認してから、ゴムやゴム製のパワーチェーンなどで装置とつなぎます。
その後も定期的に通っていただき、歯や装置・アンカースクリューの状態をしっかりチェックしながら治療を進めます。
5.装置の撤去時に抜去
動的治療(歯を動かして歯並びや噛み合わせを整える治療)が終わり、矯正装置を撤去する際にアンカースクリューも抜去します。
麻酔を使用しなくても、抜去時の痛みはほとんどありません。
抜去後は自然に痕は治っていき、傷跡は残りません。
費用・料金表
歯科矯正用アンカースクリューの料金には、本体だけではなく、レントゲン撮影、麻酔、埋入・抜去の処置など、アンカースクリューの埋入・抜去にかかるすべての費用が含まれます。
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歯列矯正は、公的医療保険適用外の自費診療となります。